静的トレーニングで認識した姿勢や構造から「肉付け」をしていくように、対人における接触訓練の中で身体の運用や自分の体を保ち、相手の動きを感じ取っていけるようにします。
- 剛柔の法
ここでは剛柔の法による武術としての「力」をつけ、体の内外を一致させていくようにします。
剛と柔は本来一つであり表裏一体なので分けることは出来ません。 陰陽図を見ても分かるように、陰の極みには必ず陽の始まりがあり、陽の極みには陰の始まりがあり、両方が混ざり合い連綿と続いています。 剛と柔の極みを鍛錬することで 剛柔を身体で理解し体内に培い調合していきます。
また一般的な力と武術的力の性質の違いを認識して動きの身体運用を習得していかなければ武術を体現する事は出来ません。
鍛錬は形をなぞるだけでは意味がなく、体を動かす原理に基づいた動きでなくては 武術の身体運用にはなりません。 体全体で運用し各関節・筋肉群が総合的にまとまった動きが相手に合理的に作用できるように訓練することが とても重要になります。
そしてそのための対練の第一ステップとして、制限した動きの中で武術としての「力」を相手に伝え、また受け取っていく訓練を行います。
- 入力・出力の訓練(PUSHOUT・対人での馬歩)
「立つ」という形(フォーム)から人間の自然な姿勢を理解して、重力及び重心を感じとる事により得られる 無駄がない身体の置き方を調整します。 体幹部や骨格構造、股関節の収まりを整えて身体の基本認識を探り、 相手との接触から、自分の軸のありかた・身体の調和・重心の置き所などを理解します。
ここでの訓練は、自己の内部の調節及び身体の細分化を理解するシステムと言えます。 剛柔の鍛錬により、トルク的に最小限の働きで最大限の効果を生み、相手に影響を及ぼすよう練習していきます。
- 歩き
武術における「歩き」には、「足に依存しない」という要素が含まれ、そのための身体運用を相手と接触しながら歩く事で「足に依存しない」とはどういう事かを理解し、そのための重心の運び方、正中線を出す、という事も認識していけるようにします。
また、対人で行う事で押し合う事なく、ぶつからない力の伝達および受け取り方も学んでいきます。